あのいまいましいブリッジは? 

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スティーヴン・キングの『ビッグ・ドライバー』を読みました

つーわけでスティーヴン・キングの『ビッグ・ドライバー』である。
中篇二編、『Big Driver(ビック・ドライバー)』と『A Good Marriage(素晴らしき結婚生活)』がおさめられています。

原著は『Full Dark,No Stars』として刊行されたもので、それを日本では二冊にわけて刊行された二冊目がこれ。
一冊目は『1922』として発売されています。
内容としてはタイトル『Full Dark,No Stars』の通り、「すべてこれ闇、星なんてねえよ」って調子。
救いがなく不愉快極まりない。だけど怖いもの読みたさでつい読み進めてしまう。
それはキングの圧倒的筆力のおかげでもあり、救い無き物語に惹かれてしまう性の表れなのでしょう。

分冊一冊目の『1922』は厭すぎてたまらなく楽しかった。
ブラック・ユーモアも満載。ここまで徹底的にやってくれると不愉快なのに愉快になってしまいます。


さて、分冊二冊目の『ビッグ・ドライバー』、表題作の『ビッグ・ドライバー』でありますが。
簡単に言えば、ミステリ作家の女性が講演帰りに「でかい運転手(ビッグ・ドライバー)」に強姦されて復讐を誓う物語。
きつい。これはきつい。描写が生々しくてつらいものがある。
不愉快な物語大好きーと言っておきながらあれですけど……。
強姦魔が犯罪の真っ最中にローリング・ストーンズの『ブラウン・シュガー』を外れた調子で歌う場面がやたらと心に残っている。

二編目の『素晴らしき結婚生活』。
結婚二十七年目にして夫が猟奇殺人鬼だということを知ってしまった妻の視点の物語。
前半部分はノロケで始まる。私はこんな結婚生活を送ってきたんだよ、と語られます。
まさに素晴らしすぎる理想的な結婚生活で子供たちも順風満帆。何も言うこと無し。幸せにどうぞ。

しかしそのまま終わらせてくれないのがスティーヴン・キングという作家。
実は夫がまだ捕まっていない猟奇殺人鬼だとしたら。その時、妻は何を思う? という嫌すぎるスパイスを盛るわけです。
まだその男と結婚していない付き合っている段階だとまだ傷は浅いですけど、なにせ結婚二十七年目にしてですよ。
家族としての土台はしっかりと固められている。
んなもんとっとと警察に突き出しちゃえばいいじゃん、とお思いになるお方もいるでしょうが、息子は事業を軌道に乗せたばかりでうまくいきそうだし、娘は結婚間近。もし夫が殺人鬼だということが世間に知られたら?
隠し通せたとしても、多くの女性を尋常では無い方法で殺害し、一人の子供をも殺した夫とこれまでと変わらぬ結婚生活を送ることをできるはずもなく、何より被害者の遺族の気持ちはどうなる? 倫理的な問題が多く絡んできます。

長年連れ添ってきた最愛の人の恐ろしい本質を知ってしまったとき、その生活はがらりと変る。
同じような生活を送ってきた女性にこの物語は読んでほしい。
自分ならどう行動するのだろう、どう考えるのだろう、と思考しながら読むと面白いです。

あとがきによると、実はこの物語、キングいわく実話から着想を得たそうです。
おおよそ十六年に渡って十人の女性(二人は子供)の命を奪ったデニス・レイダーの事件が原型となっているのだとか。
デニスの妻は夫と三十四年間結婚していて、多くの人は妻が全く知らないで結婚生活を送っていたことを信じなかったようだが、キングは「私は信じた――信じている――ので、この物語を書いた」とあとがきに書いてある。
そして文章はこう続く。

もし妻が夫のおぞましい趣味に突然気づいてしまった場合、いったいどういうことになるのか検証するために。
それはまた、他者をすっかり理解することは、その相手がたとえ最愛の人だとしても、不可能だということを検証するためでもあった。



『素晴らしき結婚生活』は救いが無いわけではなく、星がきらりと垣間見える。
それは表題作『ビッグ・ドライバー』も同じことである。
その二作に共通するものは人物の考える「正義」が適応されているのです。
どんな正義かは読んで確かめてみてください。


bigdriver.jpg

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いずき

Author:いずき
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